疾患情報
痛風
痛風とは
痛風とは乳酸が体内に蓄積され、それが関節内で結晶化してしまい、激しい痛みを伴う関節炎になる病気です。多くの方は、足の親指の関節や、足の甲に痛みが発生します。エジプトのミイラからも発見されており、長い間多くの人が悩まされてきました。しかし日本では、明治時代以前は痛風という病気はなかったといわれています。日本で痛風が見られるようになった背景には、食事の欧米化や、動物性脂肪の大量摂取、過度の飲酒、肥満などがあるようです。また圧倒的に男性に発症(95%程度)しやすい病気です。それは女性ホルモンには腎臓から尿酸の排出を促す働きがあるためです。
痛風の原因
痛風の原因は尿酸が体内に過剰に蓄積してしまうことで発症します。尿酸は、プリン体という物質を肝臓で体内に吸収するときに生み出される老廃物で、本来は一時的に体内にため込まれた後、尿や便として体外に排泄されます。しかし、プリン体の摂取量が多すぎたり、尿や便の排出量が少なすぎると体内に蓄積されていき、尿酸の量が血液1dl(デシリットル)あたりに7.0㎎を超えると「高尿酸血症」といわれる痛風の原因となる病気名をつけられます。病名の通り、血中の尿酸濃度が常に高い状態で、痛風予備群の代名詞です。プリン体は最近よくテレビCM等で聞くようになりましたが、ビール以外にもレバーやイワシ等にも多く含まれているので、一度食習慣を見直してみる必要があるかもしれません。
痛風の症状
皆さんもご存知ように痛風は急激な痛みを伴います。その痛みが発生する事を痛風発作といいます。また同時に腫れも生じるのが特徴です。痛みの原因は、体の免疫機能が体内に溜まった尿酸の結晶を異物とみなし、排除しようとするためです。痛みは夜に発生することが多く、痛みが発生してだいたい24時間以内にピークをむかえます。痛みは、通常長くても1週間から10日ほど続きますが、痛風発作が治まると痛みはなくなり、症状も消える点も特徴です。一度治まったからといってそのままにしておくと、病気自体は治ったわけではないので、2回目、3回目と発作を繰り返します。それでも放置しておくと、様々な関節で痛みを発するようになったり、徐々に結晶化した尿酸がこぶのようになります。耳たぶや大きな関節にもできやく、尿酸結節と呼ばれます。尿酸結節が大きくなると、関節が先制してしまったり、動きにくくなってきます。ここまで進行してしまうと、慢性腎臓病や、尿路結石(腎、尿管、膀胱、尿管)も発症しやすくなることが分かってきました。さらに、痛風を発症していると、高血圧や心血管障害(心筋梗塞や狭心症)や脳血管障害(脳梗塞やもう出血)も合併症として発症しやすい傾向にあります。
痛風の診断
痛風発作を起こしていない方には、血液検査をと尿検査を行い、血中尿酸値と尿中尿酸値の値を見て高尿酸血症かの診断します。また、合併症として発症しやすい高血圧、脂質異常症、糖尿病など生活習慣病や他臓器の疾患を検査して、トータル的に判断します。また発作が発生した人は、痛風発作中の関節内に尿酸の結晶があることを証明することが重要ですので、レントゲン検査により病変を発見しますが、通常は、血液中の尿酸値が高く、痛風独特の症状があれば診断されます。
痛風の治療方法
【痛風発作を起こしておらず、その他合併症がない場合】
生活指導が中心となり、食事改善や飲酒の制限、運動の促進がメインになります。場合によっては、薬を処方させることがあります。
【痛風発作を起こした場合】
食事の改善や飲酒の制限、運動の促進は当然ですが、痛風治療のメインは尿酸をコントロールすることを目的に、薬物療法を中心におこないます。治療内容としては血中尿酸値を1dl中60㎎に抑えるようにします。こうすることで、結晶化してしまった尿酸が再び血液中に溶解して痛風の原因を改善することができます。痛風発作が起こっている時期は消炎鎮痛剤により痛みを緩和し、発作終了後は尿酸降下薬を用いてコントロールを行っていきます。しかし、治療中に痛風発作を発症していまい、治療が中断してしまったり、生活習慣の改善が見られず、良好な治療結果を得られないことがあります。また、尿酸降下剤は長期にわたって服用しなければならないので、必ず医師の指示に従う必要がある。決して自己判断で止めることはないようにして下さい。