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スタッフブログ 2021.12.22
正常でも安心できないLDLコレステロール
12月に入り、連日オミクロンという言葉を耳にするようになってしまいましたが、コロナが落ち着いていた先月、久しぶりに友人に会いました。決まって出てくる話題は健康と老後…。今回は友人から健診でコレステロールがやや高かったけどLDL(悪玉)コレステロールがほぼ正常だから大丈夫でしょと…。ちょっとだけ答えに迷ってしまいました。というのも丁度友人に会う前に小型LDLコレステロール(sd LDL-C)測定試薬が国内で承認されるとの報告がありそれについて調べたばかりだったからです。
ところで、皆さんは「超悪玉コレステロール」という言葉を聞いたことがありますか? コレステロールには善玉(HDL)コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールがあることはよく知られています。HDLは血管内の余分なコレステロールを回収し肝臓に戻す役目をするため善玉、一方、LDLは肝臓で作られたコレステロールを全身に運びますが増えすぎると血管壁にたまり動脈硬化の原因となるため「悪玉コレステロール」と呼ばれ問題視されています。ところが、近年LDLコレステロールの値が正常でも虚血性心疾患を起こす例が多く存在することがわかり、その原因が前述のsd LDL-Cであることが報告されています。sd LDL-C はLDLコレステロールが中性脂肪などの影響で小型化したもので血管壁の中に侵入しやすくなり、酸化されることで血管壁に蓄積し、より強力に動脈硬化をおこすことから「超悪玉コレステロール」と呼ばれています。そしてその大きさが小さいので、多数存在していてもLDLコレステロール値全体にはそれほど影響がなく、結果LDLコレステロール値が正常であってもsd LDL-Cが多数存在することで、動脈硬化が急速に進み心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まってしまうことがあるのです。つまりLDLコレステロール値だけを見て安心することはできないということになります。
今はまだsd-LDL-C測定は保険診療で認められていませんが、早く気軽に検査できるようになるといいですね。
これからクリスマス、お正月とイベントが続きますが、中性脂肪が増加すると超悪玉(小型LDL)コレステローは増加します。食べすぎには注意しましょう。