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スタッフブログ 2019.09.25
仏像の美に癒され ~亡き父を想う~
いつも結城病院スタッフ・ブログを読んでいただいてありがとうございます。
今日は少し前になりますが、東京国立博物館で開催された「特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」に行ってきたときのことを書きます。
館内に入り感動したのが、興福寺の阿修羅像、薬師寺の薬師三尊像でした。
薬師三尊は身心の健康を護る仏様で、中央に薬師如来、向かって右に日光菩薩、左に月光菩薩が並びます。その前に立った時、黒く輝く美しい姿態に思わず息をのみました。
中央に座す薬師如来は、堂々とした雰囲気の中にも優しさが溢れるようです。
両脇の日光菩薩・月光菩薩は時に青年を思わせる表情で、宝冠やアクセサリーで身を飾り、腰をキュッと捻りパレオを纏った女性のようで、まさにすべての人の理想の姿をあらわした仏像でした。
社会人になる前、父親の趣味に付き合わされ、年に1、2度家族旅行で、京都、奈良、兵庫のお寺や仏像を拝観し、寺の歴史的背景や仏像について父から説明された事を思い出します。
薬師寺、興福寺にも家族で行っていますが、それ程感激した記憶はなく、京都に比べ、奈良のお寺は広大でひたすら歩いたという記憶があります。
父と最後に旅したのは、奈良の室生寺から長谷寺のルートでした。
長い階段や参道を見て記憶が蘇りました。「私はここで待っていたい」と父に言った事、「帰りに草餅屋さんで休憩するから頑張りなさい」と諭され、渋々参道を登った事を思い出しました。
「もっと真面目にお父さんの話を聞いて、色々教えてもらえばよかった、ごめんなさい」と、心でつぶやきながら参道を上がり、登廊の階段上がって観音様に会えた時は、有難くうれしい気持ちになりました。
仏像は祈りの対象であり、その慈悲あふれ表情や仕草は知識や信仰心のあるなしを超え
て、見る者の魂にそっと語り掛けてくれるものです。
父との思い出を辿り、また旅に出かけてみようかと思っています。