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スタッフブログ 2023.11.08
『地球温暖化とクルマの近未来』
いつもスタッフブログをお読みいただきありがとうございます。
暦の上では11月となりましたが今年の夏は記録的に暑くかつ長い夏でした。これは日本のみならず全世界的な現象で国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏の今夏の「地球温暖化から地球沸騰化の時代へ」との警告は記憶に新しいと思います。地球温暖化の主因としては紛れもなく増加の一途を辿る温室効果ガスの存在であり最大の要因はいうまでもなく二酸化炭素(CO2)です。世界的にみた国別CO2排出量(2020年)では最も多いのは中国(全体の約30%)、ついでアメリカ(全体の約14%)であり、日本(全体の約3%)は5番目に多い状況です。日本国内におけるCO2排出量(2020年)を起源別にみると
①エネルギー産業(発電所等)が約40%
②製造・建設業が約23%
③運輸業(自動車関連)が約18%と続きます。
2050年のカーボンニュートラル(CO2排出量と森林等のCO2吸収量が同等となること)の実現へ向けて、CO2排出削減へ向けた取り組みとして国は最も排出比率の高いエネルギー産業部門において、化石燃料使用による発電から太陽光・風力発電等の再生可能エネルギーへの一部転換を推進しています(原発の一部稼働再開も発表)。また、一方で自動車についてもガソリン車から電気自動車(EV)への転換を推進しています。我が家では太陽光発電はしておりますが、EVは所有しておらず近未来的な可能性も含めて興味があったのでEVについて少し調べてみました。
日本政府は「2035年までに新車販売でEV車100%を実現する」ことを発表しており、小池百合子東京都知事も「2030年までに新車の脱ガソリン化」という目標を掲げています。世界各国の情勢を見てもEVへのシフトは明らかですが、2010年ごろにはEV生産台数が世界トップであった日本もその後の伸び悩みが響き、生産台数や技術開発においても大きく遅れをとっているのが現状です。ちなみにEVのカテゴリーに含まれるのは(ご存知の方も多いかもしれませんが)、
①BEV(バッテリーの充電による)
②HEV(ハイブリッド)
③PHEV(プラグインハイブリッド:充電も可能)
④FCV (水素+酸素等の燃料電池による) です。
このうち日本を除く世界で急速に普及し主流となっているのはBEVであり、2030年ごろを境にHEVやPHEVはBEVに移行していくと予想されています。日本では新車販売台数のうちBEVの割合(2022年)は1%台で、最もBEV比率の高いノルウェーでは約80%です。企業別では世界最多の販売台数を誇るアメリカのテスラ社、これにBEVにおける強烈な価格破壊旋風を起こした中国のBYD社が追従している構図となっています。ちなみに両社とも起業時は充電池の開発企業(つまり異業種参入)でありBEVの心臓部にアドバンテージを持っています。テスラ社のBEV普及モデルについてはyoutubeにもさまざまな情報(安全性・自動運転性能・実際の航続距離・居住性等)がアップロードされています。
まず驚くのはボタンの少ない外観・操作性・システムのインターネット連携等で、もはや車というよりも「走るパソコン」という表現がフィットする印象でした。また、自動運転性能(レベル2)もさることながら、走行中には走行車線のみならず隣の車線の車(バイクも含めて)、停車中には歩行者の姿も大きなディスプレイに自車との位置関係が広範囲にアニメーションとして映し出され安全性に寄与しそうです。これらのソフトウェアアップデートもインターネット経由で行われ、使うごとに便利になっていく利点があります。一方で、テスラ社の場合は万が一の不具合の際にサポート可能な場所が少ない(現時点では関東では横浜のみ)という点は大きな不安材料です。
今後のEVの普及についてはいくつかの課題もあります。
①国内の発電事情
②充電インフラの整備
③航続距離
④車両価格 等です。
EV(特にBEV)は走行中のCO2排出はゼロですが、充電電力が必要である限り現在の化石燃料に頼る電力供給では結果的にCO2削減効果はあまり期待できません。そしてEVが普及してくれば特に都市部以外でも充電可能な設備の充実が必要になりますし、航続距離もフル充電で500km前後まで伸びてきてるとはいえ今後は急速充電でも劣化しにくい充電池の開発等が望まれ、各メーカーとも1000kmを目指しているようです。また、現在EV普及を阻む大きな要因の1つに高額な車両価格がありますが、これについてはバッテリーの価格に依存している部分が大きく、量産化されても期待できるのは現時点ではバッテリー以外の部分によるコスト削減だといわれています。
これまでガソリン車では世界トップレベルのクルマづくりの実績を残してきた日本国内の自動車メーカーも欧米や中国主導のルールづくりに伴うEV事情により苦境に立たされています。
つい先日も三菱自動車がEV対応の出遅れにより、巨大マーケットのはずの中国から撤退するというニュースが報道されました。他社も置かれている状況は同様です。EVシフトの流れはこれまでとは全く異なるプラットフォーム・ソフトウェア・充電池からなるクルマづくりが求められ、国内トップメーカーのトヨタをはじめ2030年までの具体的な構想が発表されています。
生き残りをかけた日本企業のクルマづくりの巻き返しに期待したいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。